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「バネレートを上げる」とは? [ドラテクとか]

先日のナニをした時の車両の動きを覚えておいでであろうか、てか多分覚えてる人なんて当事者以外はおらんだろうから参考映像を貼っておきますね。




でもこの車両、実は足回りが結構な全損セッティングなんですけど解ります?

セッティング出ししたのはレース参加(予定)メンバーが外注したアレクリニ…なんだっけ?とかいう業者さん(金銭のやり取りは発生するらしい:つまりプロをカタるヒト)みたいなんですが。

動画で見るぐらいじゃ判らんよね。

実は乗ってる本人(達)も「ドライ路面なら判らんかも」ってぐらいなんですが、結果としてはヒトのクルマの足回りをイジった挙げ句に殺人車両を作っておいて平気な顔…かは知らんが。

動画には撮ってないけど実はこの日、雨の時間帯もあって、というかシェイクダウンは実はウェット路面で行ったというのが真実でして。


「このクルマ、ウェット路面だとよー回るでwww」と指摘したら逆ギレでカネをせびるヒトってホントに居るんだよね…というネタ((マジ+冗談)/2)の話です。




バネの基本的な性質の復習
いつだったかに書いた気がするバネの話なんですが、今更読み返すと結構読みづらいのでゴメンナサイしつつ(書いた時はコレで良いかなと思ったんだけどね…)、ちょっと要約してみると。


  • 変位量の方向に応じた反力が増減する
  • 自由長の時点では反力がゼロになる
  • バネを並列で使うと荷重に対して均等的に動く
  • バネを直列で使うとそれぞれのバネに荷重が掛かる


「フックの法則」とかいう名前で良く知られていると思いますが、というか上記の動画を見たほうが間違いなく理解が早いです。
伸びる側に作用するバネだろうと縮む側に作用するバネだろうと基本的には同じなのですが、こういうことさえも覚えてないと疑わしい怪しい人が勘違いアシ周りセッティングを提案してたりするので怖い世の中です。




固いバネを使うというのはどういう事か
話の種自体は実は先にアレカラの方で話を載せているのですが、要約するとこの表に尽きます。


バネレートを上げると
伸び側でタイアを路面に押し付け可能な
ストローク量が減る





クルマのピッチング(加速/減速をする時のあの動き)って基本的には上記の図のように発生するのですが、重量(軸重)バランスを無視して車両の前側なり後側なりのバネレートだけ勝手に上げるとレートが上がった方のアシが路面にタイアを押し付ける力がなくなって酷いことになるよ?って話です。

酷いことって?の部分を具体例を申し上げると。

  • まっすぐでも止まらない
  • バネレート上げた側の伸び側がグリップしない


タイアを路面に押し付ける力が無いので、ちょっと考えただけでもこのような弊害が出るのは素人考えでも確定的に明らかな訳でして。

アレカラで先に書いた話は「フロントのバネレートを替えずにリア側のバネレートを倍にした」という極端な話で例示で書いてますが、ちょっと考えれば判る危険な話を「味見ですけど」と普通にブッこんでくる業者さんがいるんだよねって話です。

いくら「味見」だっつーたって全損な出来栄えのをブッこんで商談もなにもないでしょうが。
せいぜい「被害者にならんように気をつけよう」とは注意喚起するのが関の山です。


とはいえ具体的に誰がどーこーとは書きませんし、本稿はソッチ目的ではないので次のネタへ。




何故にマルチスプリング? → ストローク量との戦い
というかこの手の足回りチューニング()系の広告記事()を読んでて思うのが「縮みの方向しかアッピルしてないように読める資料が多すぎで草も生えない」ってのが困ったもんで。

前述から何となく解って頂けると有り難いのですが、要はバネとして「伸び切って自由長になってしまうと以降は何も出来ない」のをなんとか回避する仕組みが必要なんですよね…という。

そこでやっとマルチスプリングの話が出てくるというアレ。
原理的には前述の動画で既にやってるんですが、該当部分をもう一回。



乗用車のバネだと縮む方向に動くバネなのが大半なので方向が逆なのですがコンセプトは同じです、つまり「バネが無いならもっとバネを使えば良いじゃない!」(※)という話。

(※)実はマリー・アントワネット本人は言ってないらしいな。


ソレだけだと端折りすぎなので少し足すと、純正よりバネレートを上げつつも有効バネストロークを伸ばせる可能性(あくまで可能性です)があるよ、という話。

こういうコンセプトなので、いわゆる「ヘルパースプリング」と呼ばれる密着荷重の弱いバネを使う組み上げはマルチスプリングとは呼ばないと思います。
特に仕様書として世界標準が決まってるモノでもないので、語る人によってネタが違ってくるのが難点といえばそうですが。


さらにありそうなのが「マルチスプリングが至高」とかいう勘違いですが、出来ることなら周波数特性的な事(≒ダンパーの周波数特性とかも含めて)を考えるとシングルスプリングの方が悩みが少なくて良いとは思います。

なのでバネレートを上げてドライ路面しか徹底的に走らないとか性能の割り切りをするならソレで良いのですが、一方でそういう「性能の割り切り≒全損」とみなす方針の方々もいらっしゃる訳でして、ソッチ向きのネタかなぁとは思います。


更に言っちゃうと、結局はメーカー純正の、いわゆる「純正形状」とかいうアレだって。


マルチスプリング的な要素が満載なのよ?

(画像引用元は KYB のだけど…)

そんだけ純正の出来栄えを超えるってのは難しいって話なので、素人と素人ショップ()が寄ってたかって簡単にできる話じゃねーってアレで、アレヤコレヤと弄った挙げ句に純正に戻ってくるってのはそういう話ですよ。



というあたりで今回はココまで。
ええ、理論はなんとなく判ったけど検証が進まなくてね…主に費用面で orz

カンパして頂けるような奇特な方がいれば別ですが。


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